ダイビングの基礎知識
2024年07月25日

ドライスーツの役割や種類とは?インナーは必要か、選び方なども解説

流氷ダイビング
ダイビングを始める際に準備しておくといいとされるのが、ドライスーツです。しかし、なぜドライスーツがダイビングに必要なのか、よくわからない方も多いでしょう。

そこで今回は、ドライスーツの役割や種類などを解説します。見た目が似ているウエットスーツとの違いなども紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

 

ドライスーツとは

ドライスーツとは、体を乾いた状態に保つ、つまり水の浸入を防いで体を濡れないようにするためのスーツのこと。首周りから足首まで一体型のデザインが特徴です。

首周りと手首の部分には密着性の高い生地が使われているため、ダイビングなどで水中に潜ってもドライスーツの内側に水が入り込むことはありません。

 

ドライスーツの役割

ダイビングなどで着用するドライスーツには、さまざまな役割があります。

 

完全防水

ドライスーツ最大の役割は完全防水です。ドライスーツは一体型で生地につなぎ目がなく、首周りから手首、足首まで体にフィットするため、水が中に侵入する余地がありません。

100%防水なので潜水中も水着や肌が乾いたまま、快適な状態でダイビングに集中できるでしょう。

 

保温機能

ドライスーツが持つ役割としては保温機能も大切なポイントです。ドライスーツ未着用で水に入ると、水着や体が濡れて体温が奪われてしまいます。

その一方で完全防水であるドライスーツなら、体が濡れたことによって体温が低下する事態を防止できるでしょう。さらにドライスーツ着用時に内部に生じる空気の層には保温効果があるため、水の中にいても寒さを感じにくい特徴もあります。

ドライスーツを準備しておけば、水温が下がる冬場のダイビングも安心して楽しめるでしょう。

 

インナーとの組み合わせが大切

ドライスーツの保温性あるいは防寒性と関係が深いのがインナーです。ドライスーツは完全防水であり、なおかつ内部は空気の層があるため、厚みのあるインナーも着用できます。

保温性の高い生地のインナーを選べば冷たい海でもダイビングに集中でき、海を優雅に泳ぐ魚などを存分に満喫できるでしょう。

 

疲労防止

ダイビング後の疲労感を軽減できる点も、ドライスーツが持つ役割のひとつです。ドライスーツを着用した状態で海に潜った場合は体温が下がらないため、体力があまり消耗されず体への負担を軽減できます。

ダイビングの後も元気な状態が続き、帰宅までの道中も眠くなりにくいです。

 

ドライスーツとウエットスーツとの違い

ドライスーツと同じくダイビング中に着用するものとしてウエットスーツがあります。一見すると同じような役割を果たすと思いがちですが、実は両者は似て非なるもの。着用するものや保温方法など、いろいろな部分に違いがみられます。

 

  ドライスーツ ウエットスーツ
防水性 完全防水 内部まで浸水
下に着用するもの インナー 水着
保温性 空気で保温 浸透した水で体温を維持
適応する環境 冬場や海水が冷たいエリア 夏場や海水が温かいエリア

 

一般的に水温が25度以下のときはドライスーツ、25度以上の場合はウエットスーツを着用します。季節や水温に合わせてドライスーツとウエットスーツを使い分けましょう。

 

ドライスーツの種類

ドライスーツは主に「ネオプレーンタイプ」「シェルタイプ」の2種類に分けられます。

 

1.ネオプレーンタイプ

ネオプレーンタイプは、ネオプレーンゴムにジャージを貼りつけた生地でつくられたドライスーツです。

日本国内では最も主流のタイプであり、流通しているドライスーツのうち約8割がネオプレーンタイプとされています。保温性に優れているため、薄いインナーでも十分暖かく感じられ、冷たい水でもダイビングを楽しめるでしょう。

カラーやデザイン、サイズのバリエーションが豊富で、自分の好みや体型に合うドライスーツを選べるところも特徴的。体型に合うものが見つからないときはフルサイズオーダーでフィット感抜群の1着をつくることが可能です。

価格の幅も広いため、費用を抑えたい方にも適しているといえます。

 

2.シェルタイプ

シェルタイプは、レインコートのような防水素材が用いられているドライスーツです。

国内にはほとんど浸透していない一方、海外で使用されているドライスーツはシェルタイプが主流です。日本ではさまざまな作業に従事するダイバー、あるいはプロのダイバーとして活動している方の一部が着用しています。

防水性能に長けていることから、ドライスーツの内側への浸水を100%シャットアウトできる優れもの。保温性能は劣るため、冷たい水に潜るときは厚手のインナーを準備したほうがいいでしょう。比較的水が温かい場所なら薄手のインナーでも問題なくダイビングを楽しめます。

 

ドライスーツと合わせるアクセサリー

ドライスーツを着用する際には、さまざまなアクセサリーも一緒に使用します。

 

インナー ・ダイビング中の体温維持に役立つアイテム
・保温性など優れた機能を持つドライスーツ専用のインナーがおすすめ
フード ・体温を奪われやすい頭部の保温性に役立つアイテム
・ドライスーツの保温効果を最大限高めるためには必要
ウィンターグローブ ・手や指を水の冷たさからガードし、指先の動きの鈍化を防ぐのに有効
・手にフィットするものを選ぶと、ドライスーツやダイビング器材を操作しやすい
アンクルウエイト ・足に溜まった空気が原因でバランスを崩さないよう、足首に装着する重しのこと
・左右500gずつ装着するのが基本
ウエイトベスト ・ドライスーツ着用時の腰への負担軽減を目的として着用
ドライスーツハンガー ・保管中、首周りや手首、ファスナーなどを傷めないようにする専用アイテム
・ドライスーツの保管や持ち運びに便利
ドライスーツバッグ ・ドライスーツを傷つけないよう保管および持ち運ぶための専用アイテム
メンテナンスグッズ ・ドライスーツを長持ちさせるためのグッズ・ファスナー専用の潤滑剤など

 

ドライスーツを準備する際は、アクセサリーも一緒にそろえるようにしましょう。

 

ドライスーツの選び方

ドライスーツを購入するときは、素材やフィット感などさまざまなポイントを注視して選ぶことが大切です。

 

素材で選ぶ

ドライスーツは素材ごとに特徴が異なるため、自分の希望にそう特徴を持った素材を選びましょう。

フィット感や保温性の高さを重視する方は、ネオプレーンタイプのドライスーツがおすすめです。さまざまな環境に適応するドライスーツが欲しいなら、インナーで体温を調節するシェルタイプを選んでください。

 

フィット感で選ぶ

ドライスーツを選ぶうえで重要なのが、首周りや手首のフィット感です。すき間があると内側に水が侵入して水没する可能性があり、反対に締め付け感が強すぎるものは体調不良を引き起こす恐れがあります。

適度に体にフィットするサイズのドライスーツを選びましょう。

 

ファスナーの位置で選ぶ

ドライスーツに付いているファスナーの位置は、着脱しやすさや動きやすさなどと関係があるため、購入する前に確認しておく必要があります。

ダイビング中の動きやすさを重視する方は、ファスナーが背中側にあるドライスーツのほうが使いやすいでしょう。1人で着脱したい方にはフロント部分にファスナーが付いたドライスーツがおすすめです。

 

まとめ

ドライスーツとは、ダイビング中に体やインナーを水から保護するために着用するもの。体温低下を防ぐ役割や疲労を軽減する効果もあります。着用するドライスーツを選ぶときは、素材や首回りと手首とのフィット感などを重視して探すと、使いやすいスーツが見つかりやすくなりますよ。

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