ダイビングのスキル
2024年08月10日

中性浮力はどうやったら上達する?苦手な方におすすめのコツを紹介

ダイビング講習 中性浮力
海の中を自由に漂うスキューバダイビングを楽しむためには、中性浮力と呼ばれるスキルが必須です。しかし、初心者ダイバーの中には中性浮力に苦手意識を感じている方も多いようです。

今回は、中性浮力が苦手な方でも身につけるためのコツや中性浮力が必要な理由について解説していきます。中性浮力を難しいと感じている方は、ぜひ参考にしてください。

 

中性浮力とは

中性浮力とは、水中で浮きもせず沈みもしないバランスが取れている状態のことです。スキューバダイビング中は、ウエイトや機材の重さによって沈んだりウェットスーツの浮力で浮いたりとさまざまな力が働きます。

この浮く力と沈む力を、うまく均等にするテクニックが中性浮力です。スキューバダイビングを楽しむには、中性浮力は基本のスキルです。しかし、10cm単位の深度管理を維持するのは非常に高度であるため、中性浮力に苦手意識を感じる方も少なくありません。

 

中性浮力が必要な理由

スキューバダイビングに中性浮力が欠かせない理由には、以下の5つが挙げられます。

 

  • 無駄な労力を省く
  • さまざまな地形を楽しめる
  • 急浮上を防ぐことができる
  • 砂の巻き上げを防ぐ
  • ロープを使わず安全停止ができる

 

無駄な労力を省く

中性浮力が取れていると、好きな深度で止まることができます。しかし、中性浮力が上手に取れないと、行きたいところに行ったり障害物を避けたりするのに必要以上に体を動かしてしまいます。そのため、何倍もの労力を必要としてしまうのです。

ダイビング中は、タンクには容量が限られているため、特に初心者ダイバーはエアーの量に気をつけながらダイビングしなければいけません。しかし、労力をたくさん使うとそのぶん多くのエアーを消費してしまい、長くダイビングを楽しめないといったデメリットもあります。

 

さまざまな地形を楽しめる

海の中にはサンゴ礁や洞窟、沈没船などさまざまな地形があり、中性浮力がしっかり取れるダイバーであれば、どんな地形でも楽しむことができます。

たとえば、ドロップオフと呼ばれる地形でのダイビングは、中性浮力が取れなければおすすめできません。ドロップオフは海底が見えず、中性浮力が取れないと「沈んでしまうのでは…?」と不安になり、無理に体を浮かし多くのエアーを消費してしまうからです。

中性浮力が取れれば、どんな地形であっても無駄な労力を使わずに優雅にダイビングを楽しめます。

 

急浮上を防ぐことができる

中性浮力をしっかり取れなければ、ダイビング中に急浮上する可能性が高まります。ダイビング中に急浮上すると、圧力が一気に下がる減圧症のリスクが高まり筋肉の痛みやしびれ、ふらつきなどさまざまな症状が起こってしまいます。

減圧症だけでなく、耳の中の鼓膜を痛める可能性も高いです。中性浮力をしっかり取ることで、浮力をコントロールでき急浮上を防ぐことができます。

 

砂の巻き上げを防ぐ

中性浮力が取れず沈んでしまうと、海底の砂を巻き上げてしまうかもしれません。スキューバダイビングで砂を巻き上げながら進むのは、後ろの人の視界を奪ってしまうためマナー違反とされています。砂を巻き上げないよう、中性浮力を使いながら進むことが大切です。

 

ロープを使わず安全停止ができる

安全停止とは、ダイビングの終了前に水深3〜6mほどの深度で3分間程度停止することです。安全停止には減圧症のリスクを抑える役割があるため、ダイバーにとっては欠かせません。安全停止中は体を同じ水深に留める必要があるため、中性浮力のスキルが必要です。

中性浮力を取れない場合、ロープなどをつかんで安全停止する必要があります。しかし、ドリフトダイビングなどでは、ロープがないため安全停止をするには中性浮力のスキルが必須です。安全停止はダイビング時に必ず行わなければいけないため、ダイビングの種類によっては中性浮力が取れないと参加できないこともあります。

 

中性浮力を上手に取るための5つのコツ

ダイビングを楽しむために必須の中性浮力は、多くの初心者ダイバーが苦手意識を感じると言われています。初心者でも中性浮力を上手に取るためには、5つのコツを試してみましょう。

 

  • 呼吸を使って調整する
  • 海の中ではリラックスする
  • 適切なウエイトを使う
  • 姿勢に気をつける
  • 水深に意識する

 

呼吸を使って調整する

中性浮力を調整するには、呼吸が大切です。肺の中に空気が入ると浮きやすく、反対に肺の中の空気を吐くと沈みやすくなるため、それを活用することで中性浮力を調整することができます。しかし、いざ海の中で中性浮力を整えるための呼吸をしようとすると、焦ってできないという方も少なくありません。

中性浮力を上手に取るためにも、日頃から呼吸の練習を行いましょう。呼吸は普段無意識にしているもののため、実際の呼吸パターンを意識しながら練習することで海の中でも焦らずに呼吸することができます。

 

海の中ではリラックスする

呼吸を使って中性浮力を調整できない方の多くが、海の中でリラックスできていない可能性が高いです。普段は上手に呼吸できていたとしても、水中でリラックスできなければ頭では理解していても実現できません。

いつもと環境が違う海の中では焦ったりパニックになったりしがちなので、ダイビング中はリラックスを心がけ落ち着いて呼吸を行いましょう。

 

適切なウエイトを使う

海の中やウェットスーツは浮力が強いため、ダイビングで潜降を行う際はウエイトと呼ばれるおもりをつけるのが一般的です。中性浮力を上手に取るためには、ウエイトの重さが大きく関わります。適切なウエイトの重さは、身につけるウェットスーツやタンクなどの機材の種類、海の状況によっても異なります。

適切なウエイトの重さを知るには、ウェットスーツや機材をすべて装着し、BCDの空気をすべて抜いて垂直に浮いてみましょう。目の高さが水面と同じになるよう、ウエイトの重さを調整することで中性浮力を取りやすいウエイトの重さになります。

 

姿勢に気をつける

中性浮力を取るためには、ダイビング中の姿勢も重要です。体は海底と水平になるようにし、足は頭よりも上になるように意識しましょう。

水中では、頭が下を向くと沈みやすく上を向くと浮きやすくなります。中性浮力を上手に取るには、水平になるような姿勢を取りましょう。

 

水深を意識する

海の中の水深が深くなるほど、水圧の強さが大きくなりウェットスーツやBCG内の空気が膨張されるため浮力が変化します。水深10mの場所で中性浮力が取れていても、水深15mになると浮力が減り体は沈みやすくなります。

中性浮力は水深によって変わることを理解することで、水深が変わっても焦らずに中性浮力が取りやすいです。

 

まとめ

中性浮力とは、ダイビングの必須の浮きもせず沈みもしない状態のことです。中性浮力が取れないと、エアーを無駄に消費したり急浮上したりなどの危険性があるため、さまざまな地形や種類のダイビングを楽しむためにも中性浮力の取得は欠かせません。初心者ダイバーの多くが中性浮力に苦手意識を持っていますが、今回紹介したコツを参考にすることで上手に取れるようになります。

ダイビングを楽しむには、中性浮力以外にもさまざまなスキルがあります。安全に楽しくダイビングスキルを身につけたい方は、自立したダイバーを育てる「アクア・ブーチェ」にお越しください。世界で最も信頼されるダイビング指導団体NAUIプログラムを使い、基本を大切にした丁寧で充実した講習を提供します。