ダイビングの基礎知識
2024年08月02日

船酔い対策は乗船前から!船酔いの原因と具体的な対策方法7種

航行中の船
マリンスポーツや旅行の際、船酔いに悩まされてきた方もいるでしょう。「酔い止めの薬を飲んでも改善しない」といったケースもあるかと思います。

そこで今回は、船酔いの対策方法を7種解説します。船酔いの仕組みや原因も解説するので、「なぜ改善できなかったのか」という疑問のある方もぜひチェックしてみてください。

船酔いは、原因や対策、対処法さえ理解しておけば、症状緩和を目指せます。船酔いへの不安を払拭して、旅行やマリンスポーツを最大限楽しみましょう。

 

なぜ船酔いは起こる?仕組みと原因

なぜ船酔いは起こるのか、効果的に対策するため仕組みと原因を知りましょう。

 

船酔いは自律神経の乱れで起こる

人の身体は、視覚・聴覚情報にズレが生じ、自律神経が乱れることで船酔いを起こすとされています。内耳(三半規管など)は、スピードの変化や上下左右の揺れなどの情報をキャッチする器官です。

一方、こうした揺れの情報に対し、視覚情報が伴っていなければ脳は混乱します。情報を処理しきれなくなることで自律神経が乱れ、気持ち悪さや吐き気といった船酔いの症状を引き起こします。

 

船酔いの主な原因

船酔いの主な原因を見ていきましょう。

 

<船酔いの原因>

  • 激しい揺れ
  • ガソリンなどの臭い
  • 過去の経験からくるトラウマ
  • 身体的な疲労や体調不良

 

前述したとおり、船酔いの主な原因は、激しい揺れにより脳が情報を処理しきれないことです。ただし、人によっては、臭いや体調不良などが原因で自律神経を乱して船酔いを起こします。

また、船酔いになった経験から「また酔うかも」という不安がこみ上げ、船酔い特有の気持ち悪さを引き起こすケースもあります。

 

船酔いの対策方法

船酔いの対策方法を乗船前・乗船後にわけて解説します。船酔いは乗船前に対策することで、症状を抑え・緩和させる効果に期待できるため、船に乗る予定の方は参考にしてみてください。

 

乗船前の対策3つ

乗船前の対策方法を3つ見ていきましょう。

 

乗船の30分~1時間前に酔い止めの薬を飲む

酔い止めの薬は乗船の30分~1時間前に服用し、症状が出ないよう対策しましょう。メーカー・種類によって作用は異なるものの、薬は飲んでから消化・吸収を経て効果が出るまでには時間がかかります。

また、薬を飲むのが遅れた場合、船酔いにより嘔吐して、薬も一緒に出てしまうかもしれません。こうした事態を防ぐためにも、乗船前に薬を飲んで対策しましょう。

 

前日は十分に睡眠を取る

乗船前日は十分に睡眠を取り、体調を万全に整えましょう。体調不良が原因で自律神経が乱れ、船酔いを起こす可能性もあります。

過度な飲酒も体調不良の原因なので、乗船前日は早い時間に眠れるよう準備してください。

 

胃に負担のかかる食べ物は避ける

胃に負担のかかる食べ物を避け、船酔いを促進させないよう注意してください。たとえば、天ぷらやラーメン、かつ丼など脂っこい食事は、気持ち悪さを助長させる恐れがあります。

また、空腹状態も自律神経の乱れにつながり、船酔いを招くリスクがあるので注意が必要です。消化のいいリンゴやヨーグルトなどで軽く食事を済ませ、船に乗る準備を整えましょう。

 

乗船後の対策4つ

乗船後の船酔い対策方法を4つ解説します。

 

気持ち悪くなる要素を取り除く

気持ち悪くなる要素とは、以下のものが挙げられます。

 

<気持ち悪くなる要素>

  • 船内の臭い
  • 読書やスマホ

 

過去に船酔いの経験があると、同じ臭いを感じて「また酔ってしまうのでは」と不安になり、船酔いを起こす恐れがあります。もちろん、臭いの気持ち悪さで船酔いを起こす可能性もあるので、可能であれば換気を行うか、臭いのない場所に移りましょう。

また、読書やスマホは、「船酔いは自律神経の乱れで起こる」で解説したように視覚・聴覚情報の不一致により、脳の混乱を引き起こす恐れがあるので控えてください。

 

揺れの少ない場所へ移動する

フェリーなど船内の広い船であれば、揺れの少ない中心部分へ移動すると、船酔いを抑えられる可能性があります。船首部は波の影響を受けやすいため、揺れが激しくなりがちです。

一方、船の中心は重心・浮力の関係で揺れが小さく、船酔いを起こしにくくなります。客室を予約する際は、船の中心部分にある部屋を取りましょう。

 

客室の場合は温度調整を行う

寒暖差が激しくなると自律神経を乱す恐れがあるので、客室に入る際は温度調整を行いましょう。たとえば、寒い屋外から暖かい室内に入ったとき、温度変化に身体が追い付かず、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

船酔いのリスクを下げるためにも、体温調整しやすい温度を保つよう意識しましょう。やや涼しい状態を保っておくと、温かさによる不快感も抑えられます。

 

ダイビングの際は事前準備を済ませる

揺れた船内で行う作業は船酔いを促進させる恐れがあるので、可能な限り準備を済ませておきましょう。

 

<できる準備>

  • マスクやフィンのストラップを調節
  • ウェットスーツの着用タイミングを確認して、可能な限り息苦しい状態を避ける

 

器材をレンタルする場合、ストラップ調整は個別で行う必要があります。調整に時間がかかる可能性もあるので、船が出る前に済ませましょう。

また、ウェットスーツは締め付けがきつい可能性もあります。早いタイミングで着用すると、締め付けの不快感により船酔いを起こすかもしれません。着用タイミングを確認し、船酔いしないよう対策しましょう。

 

船酔いした場合の対処法

船酔いした場合の対処法を3つ解説します。予防・対策だけでは防げない可能性も十分あるので、対処法についても頭に入れておきましょう。

 

船外に出る

船酔いした際は、船外に出て深呼吸を行い、遠くを見つめると症状改善につながります。「外の空気を吸う」「深呼吸を行う」といった行為は、リラックス効果があるとされています。 自律神経の乱れを落ち着かせ、船酔いの改善効果に期待できるでしょう。

また、遠くを見つめることで、聴覚・視覚情報のズレが解消され、船酔いの症状が落ち着く可能性もあります。「船酔いは自律神経の乱れで起こる」でも解説したとおり、船酔いの要因は、知覚する情報のズレにより、脳が混乱して自律神経が乱れるためです。このズレを解消させることで、船酔いの症状緩和に期待できます。

 

ベルトや衣服をゆるめて横になる

船酔いの際は、ベルトや衣服をゆるめて横になり、楽な状態を保つことで症状緩和につながります。横になる際は、腹式呼吸を意識しましょう。前述したとおり、深い呼吸は自律神経の乱れを抑え、症状改善に期待できます。

また、進行方向に頭を向けて横になると、知覚する情報のズレも収まりやすくなります。

 

船酔い対処用のツボを押さえる

船酔いの改善効果が期待できるツボは次のとおりです。

 

【船酔いに対処できるツボ】

ツボ 場所 期待される効果
内関 手と手首の境目から指3本分下 ・平衡感覚の正常化
・不快感を和らげる
外関 内関の裏側 ・自律神経を整える
翳風(えいふう) 耳たぶの裏側と頭部の骨の間にあるくぼみ ・乗り物酔い予防

 

手や頭の場合、どのような状況でもツボを押しやすいため、船酔いの際はぜひ試してください。

 

まとめ

船酔いは、内耳で感じる船の揺れと、視覚から入る情報にズレが生じることで起きる症状です。船に慣れていない場合、誰しも船酔いになる可能性があるため、「船酔いの対策方法」で解説した予防・対策方法を頭に入れておきましょう。

中でも、ダイビングなどのマリンスポーツは小型のボートで移動するため、波の影響を受けやすくなります。船酔いを起こしやすいので、予防・対策・対処法も含めて理解することが大切です。

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