ダイビングのスキル
2024年08月01日

耳抜きで片耳だけ抜けない原因とは?誰でもできる方法・コツも解説

ダイビングの潜水講習
スキューバダイビングを始めると、「片耳だけ耳抜きできない」「なぜか耳抜きに失敗する」などのトラブルに陥るケースもあるでしょう。そこで今回は、耳抜きができない原因や耳抜きの方法・コツについて解説します。

うまく耳抜きができない場合の対処法も解説しているので、ダイビングへの不安が残る方もぜひ参考にしてみてください。耳抜きは、体質によって難易度に差があるものの、ノウハウ・コツさえつかめば習得できる技術です。安全にスキューバダイビングを楽しむためにも、耳抜きの基本知識から頭に入れていきましょう。

 

スキューバダイビングにおける耳抜きとは?

スキューバダイビングの耳抜きとは、水圧によって押し込まれた鼓膜をもとに戻す行為です。地上と水中では身体にかかる圧力が異なり、海中に深く潜るほど圧力(水圧)が増します 。

鼓膜の内側には空気が溜まっており、水圧が強くなるほど空気が圧縮されます。このとき、鼓膜が内側に凹んでいくことで耳の中に痛みが生じるため、耳抜きによって解消しなければなりません。

耳抜きにより内側から空気を送ると、鼓膜をもとの状態に戻せます。体質によって耳抜きが必要となる水深は異なるため、スキューバダイビングを始める際は、自分の身体に合うタイミングを見つけることが大切です。

 

耳抜きで片耳だけ抜けない原因

耳抜きができない主な原因を見ていきましょう。

 

<耳抜きができない原因>

  • 耳抜きのタイミングが遅い
  • 鼻がつまめていない
  • 鼻や口から空気が漏れる
  • マスクが顔にフィットしていない

 

「ダイビングにおける耳抜きとは?」でも解説したとおり、水中では深く潜るほどに水圧が強くなります。つまり、深く潜ったあとでは、耳抜きをしても空気で鼓膜を戻せないほど水圧が強くなっているかもしれません。

また、耳抜きでは、耳管(鼻から耳を結ぶ管)から空気を鼓膜に送る必要があるため、鼻がつまめていなかったり、空気が漏れていたりすると、うまく耳抜きできない恐れもあります。マスクがフィットしていなければ鼻をしっかりつまめないため、顔に合うマスクかどうかも確認しましょう。

 

耳抜きの方法3つ

スキューバダイビングにおける耳抜きの方法を3つ紹介します。手順も含めて解説するので、片耳がうまく耳抜きできない方は参考にしてみてください。

 

バルサルバ法

バルサルバ法の手順は次のとおりです。

 

<バルサルバ法の手順>

  1. 口をしっかり閉じる
  2. 鼻を軽くつまむ(鼻の穴を塞いでもOK)
  3. 鼻をかむイメージで息をゆっくり出す

 

鼻から息が漏れる場合は、両手の人差し指を使ってつまみましょう。空気を密閉することで鼻腔内の圧力が高まり、鼓膜をもとの状態に戻しやすくなります。

 

フレンツェル法

フレンツェル法の手順は次のとおりです。

 

<フレンツェル法の手順>

  1. 鼻をつまむ
  2. 舌の根本(奥の部分)を上顎に持ち上げる

 

フレンツェル法では、舌の根本部分で空気の漏れ口が塞がれるため、耳の中(耳管)に空気が流れ込みます。鼓膜がもとの状態に戻り、ダイビング中の耳の痛みや違和感が解消される仕組みです。

フレンツェル法は、耳抜き法の中でもとくに安全な手段なので、少しずつ練習して習得しましょう。

 

トインビー法

トインビー法の手順は次のとおりです。

 

<トインビー法の手順>

  1. 鼻を指でつまむ
  2. ツバを飲み込む

 

トインビー法では、鼻をつまみながらツバを飲み込むことにより、鼻腔内の圧力が高まります。耳管が開いて空気が送られ、鼓膜をもとの状態に戻せる仕組みです。

日常生活でも、エレベーターや坂道などで上下移動した際、ツバを飲み込むことで耳の違和感を解消できるシーンがあるでしょう。トインビー法はこのような現象と同じ原理で気軽に試せるため、他の方法と組み合わせつつ実践してみましょう。

 

片方の耳抜きを成功させるコツ

耳抜きを成功させるコツを4つ解説します。

 

抜けない方の耳を上(水面)に向ける

水中で片耳の耳抜きができないときは、抜けない方の耳を水面に向けると成功しやすくなります。「耳抜きの方法3つ」で解説した方法あわせて実践してみましょう。

ポイントは、力み過ぎずリラックスした状態で行うことです。慌てて勢いよく耳抜きをすると、鼓膜を傷つけるリスクがあるので注意してください。

 

耳抜きのタイミングを知る

体質によって耳管への水圧のかかり方には差があるので、自分に合う耳抜きのタイミングを探ることも大切です。スキューバダイビングを始めたての頃は、水面や浅い水深でこまめに耳抜きを行いましょう。

初心者の場合、どの水深まで来ると耳抜きが難しくなるのか把握できていないため、こまめな耳抜きでタイミングを計ってください。うまく耳抜きできない人は、耳抜きのタイミングが遅いかもしれません。ロープなどにつかまりつつ、潜水スピードを調整しましょう。

 

どうしてもできない場合は再浮上

潜水中に耳抜きのタイミングがつかめない場合は、再浮上してチャレンジしましょう。耳抜きができないまま潜水を続けても、勝手に抜けるわけではありません。

症状が悪化するリスクもあるので、水圧の弱い水深まで再浮上し、落ち着いてから再度チャレンジしてください。

 

耳抜きの回数を増やす

耳抜きの回数を増やし、水深に応じた水圧に対応することも重要です。「ダイビングにおける耳抜きとは?」でも解説したとおり、水深が深くなるほど水圧は強まります。

つまり、一度耳抜きをしただけでは、深い水深の水圧に対処できません。鼓膜への微妙な圧迫を感じた時点で、こまめに耳抜きを行う必要があります。

 

気持ちをリラックスさせる

過度な緊張によって耳抜きがうまくできないケースもあるので、ダイビングを始める前に気持ちをリラックスさせましょう。初めて潜る海、水温、ダイバー仲間の違いなど、さまざまな要因により人は無意識に緊張状態に陥ることもあります。

筋肉が硬直することで耳管がうまく開かない可能性もあるので、深呼吸や自分なりのルーティーンでリラックスしましょう。

 

うまく耳抜きできないときの対処法

うまく耳抜きできないときは、無理をせず以下の対処法を実践してください。

 

<耳抜きできないときの対処法>

  • インストラクターやほかのダイバーにジェスチャーで状況を伝える
  • 今の水深より深く潜らず、浅いところまで移動する
  • 浅い水深で痛みが軽減された際は、再度ゆっくり耳抜きを行う

 

片方でも耳抜きができない場合は、無理をせず浅い水深まで移動してください。無理をして潜ると鼓膜が傷つく、破れるといったリスクがあります。

 

まとめ

スキューバダイビングにおける耳抜きは、自身の鼓膜を守るための必須技能です。海中では、深く潜るほどに水圧が強くなり、耳抜きをしないと鼓膜が傷ついたり、破れたりする恐れがあります。

ダイビングを始める際は、耳抜きの知識・技術も必ず習得し、ケガのリスクを抑えることが大切です。具体的な方法は、「耳抜きの方法3つ」を参考にしてみましょう。

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