2024年04月24日

【ダイビング技術】スキンダイビングの意味は

ここのところ沢山スキンダビングスクールを開催しています。
そこで思う所、やっぱりスクーバダイビングは楽で安全だなって。
スキンダイビングは難しい事が沢山あります。
ブラックアウトの心配 → 息こらえ潜水は低酸素症により気を失う危険性があります
ジャックナイフ → 効率的に潜水を開始する方法です
水面での浮力確保 → スクーバダイバーの様にライフジャケットにもなる浮力調整装置(BC)を持っていません
シュノーケルの使い方 → 言うまでもありませんね
適正ウェイトの微妙さ → BCを持っていないので、目標水深に合わせたウェイト量が必要です
水中拘束のリスク → ロープや海藻に絡まっても対処する時間が限られています
早い潜行速度と逆さまでの耳抜き → スクーバダイバーなら幾らでも時間をかけられます
潮の流れへの対処の困難さ → 水底を掴んで流れに対処する事が出来ません
船との衝突 → 浮上時に上に船が通っていても水中に待機するとこが出来ません
・・・挙げて行くとスクーバには無い難しさが沢山あります。
どんな事でも突き詰めれば難しい事が沢山あるんですけど、
楽しむレベルにはスクーバダイビングの方が簡単に到達出来ます。
シュノーケリングまでなら楽ですけど、少し潜ってみようと思うととたんに難しさが出てきます。

適正ウェイトで正しいジャックナイフで潜行を開始すれば、
水深5m程まででも一回のフィンキックで到達出来ます。
水面に戻る時もプラス浮力を利用してフィンキック無しで水面に戻れます。
往復で10mの距離を一回のフィンキックで移動出来るのですが、
なかなかそのレベルまで到達する事は難しいですね。
私も何十年間かけて何百回?何千回?ジャックナイフやってますけど、
まだ失敗する事もありますから。

その点スクーバダイビングなら水深5mで魚を見ているなんて事は、
体験ダイビングでも出来てしまいます。30分だってそこにいられます。
基礎トレーニングとしてはスキンダイビングは大変大切です。
タンク無しで深い所まで潜って行くのがカッコいいと思う気持ちは分かりますが、
「海中を見に行く」だけならスクーバダイビングのスキルをちゃんと磨くのが早道です。
スキルのあるスクーバダイバーにとって、息こらえ潜水のメリットは、
息を止めて水に入って行く時の自分の心との対話を楽しめる事に尽きます。
私はこれが好きで素潜りが好きですが「見に行く」だけなら間違いなくタンクを背負って行きますね。

それにスキンダイビングを習得する方がお金掛かります。
スクールで受講しなくても伊豆までの交通費や施設使用料、食事代、ウェットスーツレンタル料等の経費を考えると、
何度も伊豆に通わなければ習得出来ないスキンダイビングよりも、
スクーバダイビングスクールの方が安上がりです。

スキンダビングを始めたい方のほとんどの方は、
スキンダビングの方が費用が安い、安全そうに見える、手軽で面倒が少ないと思う様です。
しかし、よく考えてみるとそんな事はありません。
きっとスクーバダイビングはダイビング屋に依存しなければ出来ないと思っているからだと思います。
その様な誤解から、スクーバダイビングがダサく見える事もある様です。
スクーバダイビングの方が技術を必要としていなくて、体力も身体能力も問われないと。
でも、それも大きな誤解です。
スクーバダイバーの入り口だけを見ているのでそう見えるのだと思いますが、
それは自転車競技者がオートバイ競技者に対して、同じ事を言うくらい的外れです。

息こらえ潜水は素晴らしい精神的な経験をもたらせてくれます。
その反面、習得は難しく危険性も高いのです。
息こらえ潜水を選択する意味をよく考えて、客観的に判断をして頂きたいと思います。