【ダイビング技術】泳力を付けたいと思っているビギナー、中上級者の皆さんへ
よくもっと速く泳げる様になりたい。とか、遠くまで泳げる様になりたいという相談を良く受けます。
ここで大切なのは、ダイビングは体力を使う活動では無い事を改めて考えてみましょう。
なんで「活動」なんて言う言葉を使うのかと言うと、ダイビングはスポーツでしょうか?
それともレジャーなのでしょうか?という部分で諸説あると思うからです。
私は両方の要素を持っていると思っています。
ダイビングには身体と心を鍛えてより良い動きを出来る様になるという楽しみもあります。
そんな事には興味が無いけど、可愛い魚を見てれば幸せと言う人もダイビングを楽しんでいます。
ダイビング中は体力を使うなと言うのは、体を鍛える必要がないと言う意味ではありません。
心肺機能を高めれば少しの動きぐらいでは心拍数が上がらなくなり、エアの消費も抑えられます。
呼吸が安定していれば心も落ち着きますからダイビングの楽しさに集中出来ます。
なので、体を鍛える事は大切です。
でも、限られた空気で行う活動なので、いくら鍛えた体でも体力に任せて動き回ればあっという間に空気は無くなってしまいます。
心拍数も上がるので心の余裕が無くなって行きます。身体的なトラブルの可能性が高くなります。
なので、体を鍛える事は大切だけど、ダイビング中は体力任せの動きをしてはいけないのです。
ましてや、普段から体を動かす習慣の無い人が、息が上がる程水中で運動したらパニックにつながります。
理想は、でっかいエンジンを積んだ車で余裕のクルージングって感じですよね。
ここから本題ですが、以上の事を前提と考えると、効率的な泳ぎ方を考える事が大切なんですね。
ビギナーの場合には中性浮力の問題とかフィンキックのフォームとか基本的な技術の問題があります。
ギビナーからはよくフィンキックが下手だから教えて欲しいと相談されますが、ビギナーにとて一番大切なのは水中での落ち着きなんです。
中性浮力だけ下手だけど、素晴らしいフィンワークの持ち主なんて人は見た事ありません。
どれか一つだけ上手にしようとするのではなく、まずは水に慣れる事、ダイビングに慣れる事が大切なのです。
いつも同じインストラクターと一緒に潜っているなら、そのインストラクターに向上心を伝えておけば、適切なときに適切なアドバイスをもらえるはずです。
中上級者の場合はどうでしょう?
ここで中上級者とは?と言うのはひとまず置いといて、一般的に200本、300本と潜っていれば中上級者と思われています。
その様な人たちでも泳ぐのが苦手な人がいます。
その原因を大きく分類すると、心理的な要因、技術的な要因に別れ、技術的な要因はフィンキックと中性浮力とバランスに分ける事が出来ます。
心理的な要因は基本的なスキルが身に付いていなくて、未だに慌ててしまう場合と、もっと根本的に水に慣れていない場合があります。
心因性の問題は私には手に余りますので、ここでは置いておきます。
スキル不足から来る心理的な要因で落ち着かない場合が良く見受けられます。
継続的なトレーニングを受ける事によって、各スキルを磨き直し、苦手意識のあるスキルを克服する事によって、見違える様に奇麗なフォームになる事があります。
本人が苦手だという自覚が無くても、トレーニングによって心に余裕が出てくるのです。
本当に心に余裕が出てくると、中性浮力やバランスにも気を配れる様になります。
泳ぐのが上手でない人は、直接的にはこの中性浮力とバランスに問題があるのだと思っています。
もちろんフィンキックも大切ですが、フィンキックの問題はこの次の段階です。
私が中上級者チームを率いてちょっと遠くまで泳ぐダイビング中の中層を飛んで泳いでいる最中に、振り返ってチームメンバーを見ると、頭のテッペンが見えている人、顔が見えている人、体が見えている人と分かれます。
少しずつ深度を下げながら中層を泳いでいる時には、自分の浮力の状態が分かりづらいのです。
もちろん、リーダーやバディーを確認する事は大切ですが、
前を泳いでいる人をじっと見ていると自然に体が起きて来てしまいます。
無意識のうちにマイナスになった浮力をフィンキックで補っている事に気がつきません。
なので、フィンキッックを断続的に行って、フィンキックが休止しているときに、自分のダイコンを見て浮力のチェックが大切なのです。
速く泳ぐ事もホバリングの延長線上にあるのです。
ダイコンを見る為に腕を前に出して、水平姿勢を維持する。
常にこの様なフォームを意識していればきっと泳ぐのが上手になると思いますよ!
速く泳ごうとするのではなく、理想的なフォームで効率的なフィンキックをすれば、結果的に楽に速い速度で進む様になるのです。
身体的には早く泳いでいる訳じゃないので、エアの消費もあまり変わりません。
ある一定の速度まではね。これから先の速度は緊急事態用に取っておきましょう。
話がちょっとずれますが、
私は自分自身の泳ぐ速度の基準を持っています。
極低速モード、低速モード、中速モード、高速モードに大きく分けて、極低速モードでは1/16の頻度で自分のつま先を5cmしか動かさない様にしています。足首しか使いません。
低速モードは5段階に分けています。1/16、1/8、1/4、1/3、1/2が基本です。
この分数はフィンキックのリズムです。音楽と同じですね。
ガイドをするときには極低速モードと低速モードしか使いません。
極低速モードはビギナー向け、中上級者向けの遠距離ダイビングの場合は低速モードの1/4速が基本です。
中速モードから心拍数が上がるので短時間しか使いません。使っても数回のキックだけです。
高速モードは本当の緊急事態用です。
こんな感じに、自分の泳ぐ速度の基準を決めておくと、自分に掛かっている負荷を客観的にも判断が出来て、自分自身の状態の把握にも役に立ちます。
潮の流れに逆らって進みたいときには、これらの基本の他にも幾つかのポイントがあります。
この話は、また気が向いたときに書きたいと思います。