2024年06月03日

【ダイビング技術】なぜビギナーは潜行が苦手なのか

なぜビギナーは潜行が苦手なのでしょうか?

水面から深度を増していけない理由は物理的には2つしかありません。それは「重くなれない」「水面に向かって推進力がある」という事です。

「重くなれない」理由を考えてみましょう。テーマはビギナーが潜行できない、という事なのでウェイトが足りないという理由は外して考えてみます。ウェイト量以外で重くなれないという事は「肺に空気が入っている「BCに空気が入っている」の2つしか理由はありません。

まずは、簡単なBCに空気が入っている、というお話から。インフレーターの排気ボタンを押しているのにBCから排気できないのは姿勢が悪いという事ですが、水面での排気不良はあまり多くありません。落ち着いて手を上に高く上げれば問題ありません。BCに水圧もかかっているので急速に空気が抜けます。なので、この件は深い話はありません。

「肺に空気が入っている」理由は、吐き気味呼吸を正しく理解していないか実践できない、心理的な恐怖心から無意識のうちに肺に空気をため込んでいる、耳抜きのために肺に空気を大きく吸い込んでしまうという事です。

吐き気味呼吸の練習は地上で練習してみると簡単にできるはずです。具体的にはインストラクターから指導を受けるのが良いのですが、思い切り息を吐いている状態から、少し息を吸って直ぐに吐き切る、という呼吸を比較的早いサイクルで行うのです。苦しくなるまで吐き切った状態で我慢しない、という事が肝心です。苦しくなるまで頑張ると息を吐き切りたくなりますから。

心理的な恐怖心は無意識のうちに「潜りたくない」と心が思ってしまい、結果的に沢山息を吸い込んでいるという状態になります。この部分は非常に繊細な問題なのでインストラクターとよく話し合ってリラックスできる環境と心を養っていきましょう。

耳抜きは息を吐き切っている状態からでも全く問題なく行えます。本当にこれ以上1ccも吐けない、なんていうまで吐き切ることはないと思います。地上で息を吐き切ってから耳抜きを行える事を確認してみましょう。簡単に出来るはずです。必要以上の力が入らずにかえって安全な耳抜きが出来るかもしれません。この息を吐き切ってから耳を抜く、という習慣を身に着けるために地上で何度も練習しましょう。習慣が身についてしまえば実際の潜行時も同じ行動が取れるようになります。

「水面に向かって推進力がある」といういい方は少し回りくどい言い方ですが、要するに立ち泳ぎをしているという事です。勿論、自身では立ち泳ぎをしているという自覚はありません。もっとも多い理由は水面でのバランスの悪さです。バランスを取るためにフィンを使い、それが結果的に立ち泳ぎとなってしまっているのです。また、心理面での問題もあるかもしれません。恐怖心から潜りたくないと思っているのです。

慣れていないと水面で体を垂直に維持することは意外と難しいものです。すぐに前後のバランスを崩し、それを修正するためにフィンを使います。どうやったらバランスが取れるか練習してみましょう。BCから少し空気を抜いてみるのも一つの方法です。BC上部のみに空気がたまり、バランスが取りやすくなります。ウェイトの位置も関係あるかもしれません。背中より、お腹より、とウェイト位置も調整してみましょう。それよりも、なにより体がバランス感覚を理解することです。意識していればいつの間にか出来るようになると思います。経験時間が重要なのでフル機材を使ってプールで練習するのも良いと思いますよ。伊豆海洋公園ならいつでも出来る練習なのでやってみましょう。

潜行時には俯せの姿勢を取ることが重要です。垂直姿勢の時の前後バランスの問題は発生しません。背中側に倒れて仰向けになってしまう心配もありません。海底が良く見えるので、下にいるダイバーにぶつかったり、危険な場所への着底も防ぐことができます。冷静に吐き気味呼吸をしていれば自然に水深が増していきます。冷静な吐き気味呼吸を実践するためには正しい手順をクールに行いましょう。慣れない事をやる時の基本「一度にひとずつ」を忘れずに。リーダーから潜行のサインが出たらレギュレーターを咥え、体を前に倒します.インフレーターホースを上に高く上げて排気ボタンを押します。排気の音や体の沈み具合から排気されていることが分かります。排気が終わったら手を下します。そして、俯せ姿勢を維持しながら静かに冷静に吐き気味呼吸を行います。

私は潜行できない人をサポートすることが良くあります。実際に何をしているのでしょうか?実はほとんど何もしていません。両手を取って相手の体を安定させているだけです。体が安定すると気持ちが落ち着きます。インストラクターが目の前にいるという安心感もあるでしょう。足も止まります。正しい吐き気味呼吸が出来るようになります。結果として水深が増していきます。少し水深が増したら耳抜きを促します。けっして下に引きずり込んだりはしていません。その証にダイバーは水平姿勢を維持したまま潜行していきます。手を持って下に引っ張れば逆立ち姿勢になってしまいますよね。心理面と体の安定を与えるだけで潜行できるのです。

私が潜行できないダイバーに行っていることを、自分自身に対してして見て下さい。きっとスムーズな潜行が出来るようになるはずです。

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