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ダイビング技術

【ダイビング技術】ディープダイビング考。深40mから緊急浮上する為には残圧がいくつあれば大丈夫か?(その3)

2015.07.03

前回、前々回と理想的な状態と最悪の状態の場合のエア消費量の計算例を書いてみました。
理想的な状態と最悪の状態とは6倍もの違いが出来る可能性が考えられると書きました。
それは両極端なはなしなので、現実的にはどう考えれば良いのでしょうか?
ディープダイビングは危険なものと思われていますが、十分な経験とスキルがあればリスクのコントロールは十分可能です。
無限圧限界内でも水深40mのダイビングは楽しめます。ただし、正確な深度コントロールと時間管理が必要です。反復潜水を考えなければ水深18mならば無限圧限界を考えなくても先にエアが無くなるので減圧潜水になる事を気にしなくても良いのですが、水深40mでは数分で無限圧限界を超えてしまいます。
言ってみれば水深18mの世界の10倍の速度で危険な領域に入っていくという事です。この事を意識して潜る事が出来るかどうかがディープダイビングをする資格があるかどうかの分かれです。
そして、深い場所でパニック状態になると致命的なエアの消費量となりますので、トラブルが発生した時でも冷静でいられるかどうかと言う事も重要です。それに備えるためには日ごろからストレストレーニングをすることが必要です。トレーニング中にあえてストレスのかかる状態を作るのです。その様な状態を経験しておけば少々のトラブルでも冷静でいられます。
もう一つ大切なトレーニングは、浮上速度のコントロールを日頃から心がける事です。ダイコンの浮上速度表示は非常に大切な目安となります。その浮上速度表示を見ながら理想的な浮上速度をキープして浮上するトレーニングを積むことにより、理想に近い浮上速度を維持することが出来る様になります。
エアの消費率も正しい呼吸法と水中でのリラックスを習得することにより減らす事が出来ます。どの様な呼吸法が良いのかはインストラクターに相談しましょう。理にかなった説明をしてくれれば良いインストラクターです。
以上の事を実践すれば、水深40mからの浮上に必要な安全停止を入れても、エアは限りなく理想に近い150リッターで済ませることが出来ます。
ここで、理想の設定で何が一番問題になるでしょうか?多分浮上に要する時間だと思います。スキルはともかく、水深40mの場所はかなりの沖合です。その場所から垂直に浮上すると船との衝突や漂流のリスクが高くなります。もちろんフロートを打ち上げる事によって船との接触を避ける事が出来ますが、漂流のリスクは残ります。
地形に沿って浮上することを考えると数倍の時間をかけて浮上することを想定する必要があるでしょう。また、トラブルが発生した時には、深い深度で想定外の時間留まる事も考えねばなりません。減圧潜水になる事を想定するという事です。水深9mで数分、水深3~5mで20分程度の減圧を想定する必要があるかもしれません。この辺の話は次回します。
流れがあればエアの消費率も毎分15リッターの計算にすべきです。
と言う事で、話を整理して再計算します。
・エア消費率は毎分15リッター
・浮上に3倍の12分を要する
・水深5mで20分の減圧停止を行う
・水深40mのディープダイビング(平均水圧は2.5気圧)
を前提として計算すると。
15リッター×12分×2.5気圧+15リッター×20分×1.5気圧=450+450=900リッター
と言う線が現実的な計算値だと思っています。
10リッタータンクの場合残圧110で浮上を開始すれば間に合う計算です。
これにはバディーの分は含まれていません。
バディーの分まで考えると現実的な答えは得られません。
なので、機材トラブルを考慮するとバックアップシステムが重要なのです。

私はディープダイビングの際には6リッターのバックアップタンクを持って行きます。
200気圧で充填してあれば1200リッターですが、使っているうちに180気圧程度まで下がる(基本的には使わないのでチャージせずに何度も使います)かもしれません。そうすると約1000リッターのエアなので、上記の計算の900リッターをちょうど賄えます。

水深40mのディープダイビングを安全に楽しむためには全員が6リッターのバックアップタンクを持参することが理想的な姿と言う事です。
これは現実的ではありませんが「チームのだれか一人だけしか機材トラブルにならない」事を前提と出来るなら誰か一人だけバックアップタンクを持って行けばよいという事になります。
バックアップタンクを誰も持っていない状況では、バディーのエアをもらう事になりますが、バディーのエアだけでは賄えない可能性が高いのです。なので、チームで潜っている場合には、トラブル当事者とエアをシェアしているバディーだけの問題と思わずに、チームメンバー全員が常にその二人のエアの状況に注意を向ける事が重要なのです。

(その2)

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